ネットワークで,晴れ渡る夜空がある。
quote:英国の天文学者たちはソフトウェアによってコントロールする望遠鏡のグローバルネットワーク・プロジェクト,ロボネット-1.0を開始した。このプロジェクトによって連続的な24時間体制の観測ができ,ガンマ線爆発のような突然の観測対象にも対応できる。複数の望遠鏡がネットワーク化され,観察データを連続的に集め,分析して警告を発することもできるようになる。現在ネットワークは,リバプール望遠鏡(北大西洋)とフォークス北望遠鏡(ハワイ)を結んでおり,まもなくフォークス南望遠鏡(オーストラリア)が加わる。ネットワークは6台の望遠鏡をつなげるまで拡張を続ける。
『その町は,いつも曇っていました。年中,空は雲で覆われていて,太陽の光が射すことは,年に数回しかありません。もちろん夜も空は雲ばかり。太陽と違って月は欠けてしまうので,たまに月がみえる夜が新月だったりしたら,長いこと月はみられません。そんな町に住んでいる,天文学者がいました。家の屋上には立派な天体望遠鏡が置いてあり,いつでも空をみられるようにしていましたが,でもみえるのは雲ばかりです。隣の家の女の子は,その天文学者に云いました。「こんな曇ってばかりなのに,天文学者をしている意味はあるの?」。天文学者はにっこりと笑って答えました。「日の光がさんさんと降り注ぐ昼間でも,実は空には星がいっぱいあるんだよ。たまに,昼間に月がみえるだろう? いつも空には,星も月もあるのさ。だから,意味はあるんだよ」』。
で,そんな曇りだったり昼間だったりしているときも,世界中のどっかでは晴れてちょうど夜な場所があるはずだ。そこで観測を行えば,24時間,絶え間なくすべての夜空を観測できることになる。将来,地球上の何百ヶ所に同規模の望遠鏡を設置し,すべてをネットワークでつなげば,くまなく夜空すべてを見渡すことができるようになる。曇りの町の天文学者も含めて,地球上のすべての人が天文学者になれる状況が整うだろう。夢のような話と思うかもしれないが,夢は夜空の下でみるものだよ。
|